

子どもたちの心には、芽生えたばかりの気持ちがたくさんあります。いろんな人と仲良くなって、たまに喧嘩をして、授業ではこれまで知らなかったことを学んで。日々の新しい体験を通して、さまざまな気持ちが生まれ、成長し続けている。以前、学童で開催したお話し会でも、そんな子どもたちの変化を目の当たりにしました。
その会では朗読の“話し役”を子どもたちに任せようと、記名式でやりたい子を募りました。すると翌日、普段は引っ込み思案でおとなしい子の名前がそこに書かれていたのです。“話し役"に決まってから、毎日のように朗読の練習をしていました。しかし、いよいよ本番が翌日に迫った日。緊張からなのか「やっぱりやめる」とその子がこぼしたのです。「やってみようよ」と言いたいのをぐっと堪えて、「そっか。とっても上手だったけど、私だけ聞かせてもらっちゃったね。ありがとう」と伝えて、その話は終えました。そして当日。タイムテーブルが進み、その子の番が回ってきます。一応、「やる?」って聞いてみたんです。「やる」って、返してくれました。話し始めると、とても小さな声。きっと後ろのほうに座っていた子は聞こえなかったと思います。でも、「聞こえない」とは誰も言わなかった。みんな前のめりになって、その子の声を拾おうと耳をすませていました。子どもたちはいつの間にか、すごく成長していたのだと気付かされた瞬間でした。“話し役”をやり遂げてくれたその子も、その日を境に自分から発言することが増えていきました。自分なりに変わっていく子どもたちの姿が誇らしく思えて、今でも心に残っている出来事です。

学校でも、家庭でもない。この場所で私たちにできることは、そんなに多くはないのかもしれません。それでも、日々の何気ない関わりの中で、一人ひとりの子をよく見て、よく知って。みんなの中に芽生えた小さな気持ちを大切に受け止めて、これからも一緒に育てていけたら幸せです。



